ブログ

歯石取りは何か月に1回の頻度で受けるべき? 歯石が付く原因や放置するリスクについて

下の前歯の裏側を舌で触れたとき、表面にざらつきや引っかかりを感じたら、歯石がついている可能性があります。日常生活に支障をきたすことはないものの、「歯医者さんで取ってもらったほうがいいのか?」と疑問をお持ちの方も多いでしょう。そこで今回は、歯石がつく原因や放置するリスク、歯医者さんでの歯石除去やその頻度について解説していきましょう。

歯石はなぜできるのか

歯石がたまる原因

歯石は歯と歯ぐきの境目に付着する硬い沈着物です。磨き残しによってプラークが長く放置されると、唾液に含まれるカルシウムやリン酸がプラークに沈着し、石のように硬い歯石へと変化します。

歯石がたまりやすい場所

歯石は唾液の排出口である「唾液腺」の近くにつきやすい傾向があります。代表的な部位は「下の前歯の裏側」「上の奥歯の外側」で、この部分に歯石の付着がよくみられます。

白い歯石(歯肉縁上歯石)と黒い歯石(歯肉縁下歯石)の違い

歯石は付着する部位によって、「歯肉縁上(えんじょう)歯石」と「歯肉縁下(えんか)歯石」の2種類があります。

歯肉縁上歯石は歯ぐきより上に付着する歯石で、プラークに唾液中の成分が沈着することで生じます。色は黄白色~灰白色で、肉眼でも確認できるのが特徴です。

歯肉縁下歯石は歯ぐきよりも下にみられる歯石で、歯周病が進行した際に歯と歯ぐきの間にできる「歯周ポケット」の中の歯根面に付着します。歯ぐきから染み出る浸出液や血液成分によってプラークが硬くなったもので、色も濃い褐色~黒色を呈しています。

歯石取りは歯科医院にまかせる

歯石はセルフケア(歯ブラシ)で除去できない

歯の表面の付着汚れのうち、プラークは歯ブラシで除去できますが、プラークが歯石に変化すると歯ブラシで取り除くことができません。歯石を除去するためには、歯科医院での専門のクリーニング(プロフェッショナルケア)が必要になります。

歯石を放置するとどうなる?

歯石はそれ自体が虫歯や歯周病の直接的な原因にはなりませんが、ザラザラとした表面や小さな凹凸が細菌の温床になりやすいため定期的な除去が必要です。

歯石を放置すると、歯石表面に増殖した細菌の毒素によって歯ぐきが炎症を起こし、それがのちに歯周病(歯周炎)へと発展していきます。歯周病は進行すると歯を支える骨(歯槽骨)を溶かしていく病気で、歯がぐらついたり抜け落ちたりする原因になります。

さらに、歯石の放置は歯周病のほかにも虫歯や口臭の原因になるため、放置せず定期的に歯医者さんで除去してもらうようにしましょう。

歯科医院での歯石除去の流れ

歯科医院ではまず、「超音波スケーラー」という専用の機器を使って歯ぐきより上の歯石(歯肉縁上歯石)を除去します。細かい部位は手用のスケーラーで丁寧に取り除き、最後に歯面をツルツルに仕上げて処置は終了です。

歯周病が進行して歯ぐきよりも下に歯石(歯肉縁下歯石)が付着している場合は、「SRP(スケーリング・ルートプレーニング」という処置が必要になります。これは歯周病治療で行う処置の1つで、手用のスケーラーで1本ずつ、手探りで歯周ポケット内の歯石を取り除いていきます。

歯石取りの頻度はどれくらい?

歯石除去は「3か月に1回」のペースが理想的

プラークが歯面に付着すると、約2週間程度で歯石に変化します。歯石の付き具合はセルフケアの状況や唾液の性質、歯並びなどによって異なりますが、歯石除去を行う頻度は3か月に1回がおおよその目安です。ただし、歯ぐきより下の歯肉縁下歯石については歯周病治療が必要となるため、来院ペースは個々の病状によって異なります。

一度の歯石除去でかかる通院回数は?

歯石の付着具合にもよりますが、歯ぐきより上の歯石(歯肉縁上歯石)は1~2回の通院で除去は終了します。ただし、歯ぐきより下の歯石(歯肉縁下歯石)については、1回の処置で数本分の歯石しか除去できないため、4~6回ほど通院が必要になります。

歯石をつきにくくするためには?

歯石のもとはプラークなので、まずは毎日の歯磨きでプラークをしっかり除去することが歯石をつかなくする一番の近道です。とくに磨き残しの多い歯と歯の間は、デンタルフロスや歯間ブラシなどの歯間清掃器具を使って丁寧に汚れを落としていきましょう。

くわえて、近年は歯磨き剤やマウスウォッシュにも歯石をつきにくくする成分が配合された製品が販売されています。これらの成分は歯の黄ばみ汚れ(ステイン)の予防の効果もあるため、セルフケアに取り入れてみるのもよいでしょう。

まとめ

歯石はそれそのものが虫歯や歯周病の原因にはなりませんが、放置しておくと歯石の表面に細菌が増殖し、虫歯や歯周病、さらに口臭の悪化につながってしまいます。歯石予防ではその元となるプラークをセルフケアでしっかり除去することが重要ですが、一方でどんなに歯磨きが上手な人でも100%プラークを除去するのは困難です。したがって、歯医者さんで3か月に1回を目安に、定期的に歯石を除去してもらいましょう。

【関連ページ】